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燕三条から30分ぐらいの長閑な住宅地に(株)セキカワの工房(工場)はある。 晴れて穏やかな日の光を浴びた工場は鍛造の工具と刃物の素材で一杯だ。

工場の闇―。
それは職人の躍動を生む場でもある。 その闇の「黒さ」が美しい。
鍛造の強さと繊細さはその「闇」から生まれる。
「野鍛冶」の伝統を受け継ぐ刃物師佐々木哲夫。
鋼をさわって60数年。多分70歳前後か。凄いキャリアだ。

地金と鋼の呼吸を聞きながら焼入れをする。 その呼吸がすこしでもずれるとすべて狂う。 地金との打ち合いのタイミング一つですべてが決まる。まさにワザ師の域。 焼入れと焼きなましの間合いのタイミングがすべてを決める。 息を飲む作業の連続。 焼入れした時間にあった十分な「なまし」をしないと 長持ちや切れ味に影響が出るらしい。 要は、最初の工程に手を抜かずに十分手間を掛ける。 そして心を込める。すべて手の技だ。 焼入れをした地金と鋼を何度も鍛錬(鍛造)することで、地金の中にある不純物を追い出す。より強く美しい地金ができあがる。 まるで生き物。 職人佐々木哲夫のスピリッツが刃物の中に叩き込まれていく。刃物の切れ味の凄味がこうして生まれる。刃物の美しさは、まれにしか生まれない。
佐々木師のキャリアは、地金と鋼の癖を聞きながら、鋼の分子を感じとりながら手間暇をかけて進められていく。 「72歳の佐々木師は、今が一番、油が乗っている」と作品を一手に担う(株)セキカワの専務関川昌徳は言う。 「今が一番素晴らしい出来栄えだ」と。
(株)セキカワは江戸時代より、代々「越後刃物」の伝統を受け継ぐ鍛冶職人ブランド「左藤蔵」(HIDARI−TOHZO)を世に問うている。 クオリティーの高いモデルに鏡文字(反対文字)の 「藤蔵」の銘を刻んで市場に提供している。 職人の世界はいつも“ネガ”の世界だというのであろうか。 鍛造職人佐々木哲夫の技術は越後伝統の鍛造技術の粋で“芸術”ともいえる域に達している。   左藤蔵は、常に刃物を探究している。 料理包丁だけではなく、鍛造が難しいそば切り包丁やナイフ、今では作る人も少なくなった刈込鋏まで鍛造技術を活かして幅はじつに広い。 評価が厳しい刃物を造り続ける左藤蔵。 生み出す“作品”の切れ味は素晴らしく、古来の伝承の技に裏打ちされたテマヒマをかけた仕上げは、見る者を唸らせる。




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