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本名 高見一良
刀工名 太郎國一
昭和48年4月16日生まれ

平成4年    刀匠 河内國平師に入門
平成6年    金工(刀身彫)柳村仙寿師に鏨(たがね)の基本を学ぶ
平成9年〜13年 国選定保存技術「日刀保たたら」村下養成員として、たたら操業に従事。
平成10年    文化庁より美術刀剣類製作承認を受ける
          新作名刀展 初出品
          以降平成13年まで入選
平成11年    独立 高見國一鍛刀場設立
平成13年    東京藝術大学にて河内國平特別講義の助手として作刀に従事
平成14年    新作名刀展 優秀賞受賞
          「日本の名刀と播磨の刀展」出品
平成15年    新作名刀展 努力賞受賞
平成16年    新作名刀展 努力賞受賞
平成17年    新作名刀展 努力賞受賞
平成18年    新作名刀展 全日本刀匠会会長賞受賞
平成19年    新作名刀展 日本美術刀剣保存協会会長賞受賞
平成20年    新作名東展 優秀賞受賞
          第三回お守り刀展覧会 フェザー安全剃刀賞受賞
           (財)日本美術刀剣保存協会 第43回全国大会一本入札鑑定「地位」受賞
          「日本刀の匠たち 私の最高傑作」出品(佐野美術館)
平成21年    新作名刀展 薫山賞受賞
           第四回お守り刀展覧会 テレビせとうち賞受賞
平成22年    新作名刀展 日本美術刀剣保存協会会長賞(最高賞)





日本には現在、刀匠会会員約200名の刀工が存在する。
その一人、高見國一さんに初めてお目にかかったのは、東京ビッグサイトで開催された鍛造関係のコンベンション会場である。鍛造関係のコンベンションでの展示物は、日本お得意の自動車工業などの主要部品などである。鍛造ジュエリー関係の展示物がないか興味津々と会場を彷徨っていた。
何かのデモンストレーションをしているのか、かなり大きめな人だかりができていた。その人だかりの輪の中心に高見さんがいた。
日本刀の製作工程を詳しく説明しているところだった。高見さんは袴姿だった。日本を代表する刀工であることは、その身辺からほとばしるオーラでそのことを実感した。 同じ鍛造品であっても、日本刀と私が製作に携わっている鍛造ジュエリーとは随分とその過程や取り組みの姿勢などが大きく違うことを感じた。
私は高見さんのプレゼンテーションに魅了され、会場を去る時、高見さんの商品パンフレットともいえる『鍛え練る』を手にした。中を覗いてみると刀工の世界が美しい写真とともにまとめられていた。 そして私は一枚の写真に引き付けられた。一振の守り刀の茎(なかご)にそれぞれ二つの穴があけられている写真だった。茎とは刀の握り部分のことをいう(写真参照)。 どうして茎に大小の二つの穴があいているのだろうか。 その写真のキャプションに驚かされた。




『日本人の女性とカナダ人の男性がご結婚する。お二人のお守り刀として依頼を受けました。
茎から結婚指輪を切り抜いて欲しいという斬新なアイディアに戸惑いもありましたが、現代刀工として可能な限りお二人の気持ちに応えたいと思いました。仕事に取り掛かると、想像以上の難しさに頭を抱える時もありましたが、完成した時の達成感は非常に大きいものでした。私の作刀人生において、おそらく最初で最後となる作品です。 お二人の幸せを心から願っています。』



茎の穴は、結婚指輪を造るためにあけられた穴だった(写真参照)。日本刀から結婚指輪を造るというアイディアに私は心を動かされた。 高見さんに直接お会いして、作刀のことなどを伺いたいという衝動に駆られた。





高見さんは、昭和48年(1973年)に兵庫県佐用郡佐用町で生まれた。地元の高校を卒業してから、作刀の道に進んだ。作刀の技術と心を河内國平師から学び、その後、佐用町に鍛刀場を開いた。現在まで独自の美学に基づく作刀に力を傾注し、多くの賞を受賞している。
2011年11月22日、私は高見國一鍛刀場を訪問させていただいた。わざわざ、私のために作刀の手を休めて快く迎えてくださった。高見さんは作刀場を一巡り案内してくださった。作刀の手順も詳しく説明してくださったが、具体的な手順は高見さんの HPの説明に譲る。





『私の目指しているのは、鎌倉時代の華やかで、あでやかな刀鍛造です。刀の鍛造は私の人生であり、刀は自分の分身です。
昔、江戸時代にただ一人、女性の作刀家がいたそうですが、刀を造るというのはただ事ではなく、強い肉体と精神力、持久力がないとできない仕事です。刀の価値は刃文の美しさと地鉄の冴えと姿の美しさで決まります。 私の場合、納得出来る刀は、5振か6振に数振の割合でしかできません。1振仕上げるのに気の遠くなるような時間と忍耐が必要です。』



作刀と私の仕事の分野である鍛造ジュエリーの世界と極めて近い共通の事柄がある。作刀では単に鋼を鍛えるだけだと理解していたが、それは大きな誤解だった。刀の芯になる部分に芯金(しんがね)を入れて、その周りを別の鋼で包むのだ。芯金は比較的柔らかい鋼を用い、強い鋼で包む。そして何回も赤めては叩く。鍛える。圧延の繰り返しでできる鍛造ジュエリ−と鍛錬を繰り返すことで、強さと美しさを合わせ持った刀の「用の美」は共通している。両者とも人の心が込められたスピリッチャルなものだ。




高見さんの鍛刀場は、ぽつりと大自然の田園風景の中に佇んでいる。作刀は高見さん一人ではできない。多くの工程を信頼できる工匠たちが分業して支える。刀工の仕事は、最後の研ぎのプロセス前までである。 高見さんは現在、大阪藝術大学の通信課程の学生として、日本の伝統工芸の歴史や技術を学んでいる。その探究心には驚嘆させられる。


『この自然の中で風の音や鳥の声を聞き、悠久の自然に触れることで力が湧いてきます。 また私を支えてくれるのは、依頼主様からの注文を頂くことです。依頼主様は個人の方が殆どで、家族や家系の守り刀として注文を受けることが一番多いのです。刀に精神性というか、日本人としてスピリッチャルなものを刀から感じていただけることでしょう。』


約200名いるといわれる日本の刀工。高見國一刀匠の今後の仕事ぶりに大いに期待を寄せたいと思う。(文責:飯田佐紀子)









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