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2012年1月5日に韓国ソウル市中心街から少しはずれたところに学生の街があります。そこに雰囲気のあるビルの2階に鉄の作家、チェ・ホンギュ氏の個人コレクション(錠前と鍵)を展示した「韓国鍵博物館」があります。朝鮮朝時代のアンティーク類に入る錠前(LocK)と鍵(Key)のコレクションは見事なものです。

展示は主に朝鮮王朝時代のものが中心ですが、チベットとかアジア全域のカギ類も展示されています。いうまでもなく、古今東西を問わず、カギの材質は鉄とか銅が中心で、その製法の多くは鍛造です。展示されているカギの多くは、カギとしての実用性よりも美術品と呼べるものばかりです。つまり、装飾的要素が強いものばかりです。とくに、鍵類は今日のケータイ電話のストラップ同様に多くの装飾が施されています。いつの世も どのようなものでも装飾品にしてしまうセンスは似通っています。


古代文明に支えられて栄えた中国王朝、朝鮮王朝の文物は多くの匠、職人によって生み出されました。鉄と銅の金属加工技術によって多くの工芸品が生み出されましたが、鉄の作家、チェ・ホンギュ氏の審美眼にかなったものばかりのカギのコレクションは見事です。幾多の戦火にまみれた朝鮮半島の文化財、美術工芸品のうち、金属類は幸いなことに焼失を免れたものが多く、今日、私たちが直接目にするいことができるは幸いなことといえます。


韓国には「韓国鍵博物館」のように、個人の収集家による 専門博物館 が多く存在します。尊敬に値することだと思います。
特に昔の職人の工房を再現した部屋の展示室には国宝級の“作品”を作り出した職人の使用した道具類やカギのパーツ類が並べられていました。私も作家の端くれとして、大いに興味を持ちました。「昔も今も大した変りはないものだ」と感じ入りました。


「韓国鍵博物館」には約4000点が収蔵されています。 素材や形状など昔の鍵は、その国の風土、思想が繁栄されています。 また家や家族を守りたいという人々の祈りも込められていて興味はつきません。特に朝鮮王朝時代の木製の細工か美しい金属の鍵など貴重なコレクションがあります。長寿や繁栄を願って魚や亀、蝶などが彫刻されています。闇に浮かび上がる展示什器は、チェ・ホンギュさんが手掛けたユニークな空間と同時に建築空間も楽しめます。
これらのカギ類は大切なものをしまうためのたかが道具ですが、されど、どの 美術・工芸品にも劣らない道具であることも確かです。(写真・図版をご参照ください)





今回機会がありソウル市中心地で一番高いところにある南山にあるテレビ塔にいきました。もちろんソウル市の美しい夜景を見るためです。しかし、そこでカギに関係する凄い光景をみつけました。 なんとテレビ塔展望台の金網のところに、何百何千というカギがぶら下げられていました。写真をご覧ください。ぶら下げられているというより、カギの山が築かれていました。 これは、今世界的に流行している「南京錠伝説」「愛の南京錠」の南山版なのです。結婚前の男女が愛の固さ、絆の強さの証明のために、南京錠に願いの言葉を書いて施錠します。そしてキーの部分は捨ててしまい、二度とそのカギは開けられないようにする“儀式”“おまじない”なのです。 この愛の「南京錠伝説」の南山の現場で私は、ブライダル企画のいくつかを想起しました(後日ご提示できればと考えました)。 「鍛造家族」にも「絆」がありますが、私は鍛造製品による「ブライダル伝説」として「南京錠伝説」のエピソードは使えると直感しました。 日本に帰ってきて、インターネットで調べてみました。 あるわあるわ。 なんと、ロシア版では結婚式の途中で、新郎新婦が盛装したまま「南京錠伝説」の“聖地”で誓いを立て、カギをガチャンと閉めたところの写真が出ていました。 ロシアは進んでいる! そう思いました。

日本最大の「聖地」は神戸の「ヴィーナスブリッジ」だとわかりました。橋の欄干の金網に無数の南京錠がつけられて、金網が壊れたら危ないというので、神戸市は700万円の経費をかけて撤去したそうです。しかし、撤去しても元の木阿弥。いまでも南京錠は増え続けているようです。 ドイツのフランクフルト市の橋にも一杯、カギがついています。もうとどまるところを知らないようです。 「南京錠伝説」で大切なことは、そばに川とか海があることです。願いを込めて二人でキーを投げ捨てることが大切だからです。日本には多くの縁結びの神様がいますが、「南京錠伝説」は陸地の真ん中にある神社仏閣ではダメなのでしょう。 NHK大河ドラマ『平清盛』の出てくる厳島神社など有望株でしょう。 日本を代表する建築家、隈研吾さんが設計した瀬戸内海に浮かぶ島(亀老島)の展望台にも新たな「南京錠伝説」のカギつけ始められました。眺めはいいし、 近くに海があります。 人が固い近い立てるときに金属同士を打ち合わせます。合戦の前に、槍や刀をお互いに天に向かってつきあげ、打ち合わせます。武運長久を祈るためです。そのように金属と金属を打ち合わせることを、「金打」(きんちょう)といいます。 「南京錠伝説」「結婚リングの交換」なども「金打」の伝統に倣ったものでしょう。 人と人の絆、国と国の絆がボロボロになっている現代だからこそ、固い金属によるお呪い、祈願が流行るのでしょう。 鍛造製品の「南京錠伝説」の急速な広がりは、貴金属業界が注目してもいいような流行だと思いました。





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